感謝することはできていますか?
当たり前のことですが、人生の中で感謝する瞬間は意外に少ないものです。毎日仕事をこなし、家族の世話をして、夜寝る。そんな日常の中で、わたしたちは何に感謝しているでしょうか。朝ご飯が食べられることに?屋根があることに?あるいは、何ももらっていない、自分で手に入れたものだと思っているでしょうか。
感謝の気持ちを持つことは、実は人生を大きく変える力があります。同じ現実を見ているのに、感謝できる人とできない人では、見える世界がまったく違ってくるのです。
貧困の中で過ごした日々を思い出します。食費月1万円で生活する中で、毎日が苦しかった。でも、その苦しみの中でも見えてくるものがありました。わたしを支えてくれた人たち、かけてくれた言葉、小さな喜び。そうした「ある」ものに目を向ける習慣が、あのとき、わたしを支えていたのです。
感謝は、単なる気持ちではなく、人生を支える力なのです。
もし、人生が苦しいのであれば、それはなぜでしょうか。
失ったものに目を向けているからではないでしょうか。
古い書物の言葉に、このようなことが書かれています。
「全地よ、主に向かって喜びの声をあげよ。喜びながら主に仕えよ。」
この言葉は、詩篇という古代ユダヤの詩集に記されています。この言葉が書かれた時代、人々は様々な困難の中にいました。戦争、飢饉、病気、貧困。でも、詩人はこう歌っています。「喜びの声をあげよ」と。
なぜ、苦しい時代に喜びを歌うのでしょうか。
それは、喜びや感謝は、外の環境に左右されるものではなく、自分の心の選択だからです。
同じ貧困の中でも、ある人は絶望し、ある人は感謝します。同じ病の中でも、ある人は悲しみに沈み、ある人は生きることへの喜びを感じます。その違いは、何に目を向けるか、という選択の違いなのです。
古い書物は言います。「喜びながら主に仕えよ」と。
これは、喜ぶことが義務だということではなく、喜び、感謝することで、人生全体が変わってくるということを述べているのです。
感謝の力は、現実を変えるのではなく、現実を見つめる視点を変えます。すると、その視点の変化が、やがて人生そのものを変えていくのです。
では、感謝する習慣をつけるために、今、できることは何でしょうか。
まず、毎日、三つの「ある」ことに気づく時間を持ってみてください。
朝起きたとき、「今日も目が覚めた。これはありがたいこと」と思う。昼食を食べるとき、「このご飯を食べることができる。これもありがたいこと」と思う。夜、布団に入るとき、「今日も一日、生きることができた。これもありがたいこと」と思う。
これだけです。特別なことをする必要はありません。ただ、「ある」ことに気づく。それだけで、心は大きく変わります。
次に、誰かに感謝を伝える習慣をつけてみてください。
それは大げさな言葉である必要はありません。家族に「毎日、おいしいご飯をありがとう」。同僚に「手伝ってくれてありがとう」。友人に「いつも話を聞いてくれてありがとう」。そうした小さな感謝の言葉が、あなたの心を、そして相手の心を変えていくのです。
感謝は、相手を喜ばせるだけではなく、自分の心も癒すのです。感謝することで、わたしたちは「つながり」を感じます。一人ではなく、誰かに支えられて生きているのだ、という実感。その実感が、人生を支える大きな力になるのです。
私の経験から
わたしが貧困の最中にあったとき、毎日が苦しかった。でも、その中で、わたしはたくさんの感謝を見つけました。
冬道を灯油タンクを担いで1km運ぶ。その苦しい作業の中で、わたしを励ましてくれた人がいました。近所の方が声をかけてくれました。その一言が、どれほどの力になったか。
人生が豊かなときは気づかないのです。感謝することの大切さに。でも、失ったときに、初めてわかる。あの人がいてくれたから、あの言葉があったから、自分は生きることができたのだ、と。
感謝の習慣をつければ、そのようなどん底を経験せずとも、人生全体に感謝が満ちていくのです。毎日が「ありがとう」で始まり、「ありがとう」で終わる。そのような人生は、見える世界がまったく違ってくるのです。
わたしは今、81歳です。失ったものも多くあります。でも、だからこそ、「ある」ことへの感謝が深くなりました。毎朝、目が覚めることに感謝します。ご飯が食べられることに感謝します。話を聞いてくれる人がいることに感謝します。その感謝が、毎日を支えているのです。
感謝する心は、誰にでも持つことができます。
年齢や経験に関わらず、今この瞬間から、始めることができます。今日、三つの「ある」ことを見つけてみてください。そして、誰かに一つの感謝を伝えてみてください。その小さな一歩が、あなたの人生を大きく変えていくでしょう。
感謝の力は、人生を変える力です。
今日、あなたは誰に「ありがとう」と言いたいですか?その人に、心を込めて伝えてみてください。


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