「もう遅い」
そう思ったこと、ありませんか?
新しいことを始めたいけれど、年齢を考えると躊躇してしまう。今さら変われるはずがない。あの時、ああしていれば。そんな後悔が、胸に重く残る。
私も、63歳でうつ病になったとき、すべてが終わったように感じました。
でも今、81歳になって思います。人生には、それぞれの時がある。焦る必要はなかったのだと。
人生に、「遅すぎる」はあるのでしょうか?
私たちは、どうしても焦ってしまいます。
周りと比べて、自分は遅れている。もっと早く始めていれば。そんな焦りが、心を追い立てる。
でも本当に、人生には「正しいタイミング」というものがあるのでしょうか?
古代の知恵が教えてくれること
古代の知恵の書、伝道者の書に、こんな言葉があります。
「天の下では、すべてに時がある。生まれる時、死ぬ時。植える時、抜く時。泣く時、笑う時。沈黙の時、語る時」
これは今から約3000年前、ソロモン王が書いたとされる言葉です。
人生のあらゆる出来事に、それぞれの「時」がある。喜びの時もあれば、悲しみの時もある。何かを始める時もあれば、手放す時もある。
この言葉が教えてくれるのは、人生は一本道ではないということ。
春があれば冬がある。晴れの日もあれば雨の日もある。それは自然の摂理であり、人生も同じなのだと。
大切なのは、「今」がどんな時なのかを知ること。
焦って春に冬の準備をしても意味がない。冬に無理やり花を咲かせようとしても、うまくいかない。今がどんな季節なのか、静かに見つめることから始まります。
人生の四季を受け入れる
では、どうすれば今の「時」を知ることができるのでしょうか。
まず、焦りを手放すこと。
「もう遅い」ではなく、「今がその時かもしれない」と考えてみる。
私の場合、67歳で神学校に入学しました。周りからは「今さら?」と言われました。でも、今思えば、それが私にとっての「学ぶ時」だったのです。
新しいことを始めるのに、早すぎることも遅すぎることもない。大切なのは、今の自分が「その時」を感じているかどうか。
転職を考えている。新しい趣味を始めたい。誰かに謝りたい。そう思ったなら、それが「その時」なのかもしれません。
小さな一歩でいい。完璧を目指さなくていい。今日できることから、始めてみる。
そして同時に、今は「待つ時」かもしれないと受け入れる勇気も必要です。
何もしない時間にも意味がある。休む時、静まる時、ただ耐える時。そんな時期も、人生には必要なのです。
81年を生きてきて
正直に言います。私は、焦って生きてきました。
もっと早く、もっと上手に、もっと多く。そう思って、がむしゃらに働きました。
でも63歳でうつ病になり、すべてが止まりました。その時は、人生が終わったと思いました。
でも今思えば、あれは「休む時」だったのです。
食費月1万円の貧困を経験したのも、「学ぶ時」でした。灯油タンクを担いで冬道を1キロ歩いたことも、「耐える時」でした。
そして67歳で、「新しく始める時」が来ました。
遅すぎることは、なかった。ただ、それぞれの時があっただけです。
今が、あなたの「その時」
人生には、それぞれの時があります。
焦らなくていい。他人と比べなくていい。
今、あなたの季節は何でしょうか。
新しく始める時かもしれない。休む時かもしれない。誰かと和解する時かもしれない。ただ静かに耐える時かもしれない。
どんな時も、無駄な時はありません。すべてが、あなたの人生の一部です。
今日という日が、あなたにとっての「その時」でありますように。
今、あなたの心が「その時」だと感じていることは、何ですか?


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