信頼することで見えてくるもの

日々の気づき

あなたも感じたことありませんか?

人生で最も疲れることの一つは、「すべて自分で判断しなければならない」という重圧ではないでしょうか。

仕事の決断、人間関係の選択、将来への不安。毎日、私たちは数え切れないほどの決断を迫られています。正しいのか、間違っているのか。自分の判断は本当に大丈夫なのか。そう思い悩みながら、肩を張って生きている人が、何と多いことか。

特に人生の後半に差しかかると、その重さはさらに増します。もう取り返しのつかない選択をしてしまったのではないか。もっと早く気づくべきだったのではないか。そんな思いが心に巣くうものです。

でも、もしかして。その「すべて自分で決める」という思い込みが、実は一番の疲れの原因なのではないでしょうか。

もし、そうだとしたら…

もし、あなたが一人ではなかったとしたら。もし、何か大きなものに導かれているとしたら。そう感じることができたら、人生は変わるでしょうか。

古い書物の言葉

古代の知恵の書に、こんな言葉があります。

「あなたの心を尽くして主を信頼し、自分の悟りに頼ってはいけない。あなたの行く道すべてで、主を認めよ。そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにしてくださる。」(箴言3:5-6)

この言葉が書かれたのは、今から2500年以上前。古代ユダヤの時代です。当時の人々も、私たちと同じように、人生の決断に悩んでいました。

「主を信頼する」というと、難しく聞こえるかもしれません。でも、ここで言う「主」とは、単なる宗教的な存在ではなく、もっと大きなもの、もっと深い「いのちの流れ」のようなものです。自然の営み、人間関係の中での出会い、時間の流れ。そうした目に見えない大きな力のことです。

この言葉の核心は二つです。

一つ目は「自分の悟りに頼ってはいけない」ということ。 これは、自分の頭で考えたことだけが正解ではないということです。人間の理性には限界があります。特に、感情が揺れている時、疲れている時、悲しみに包まれている時、私たちの判断は曇ってしまいます。そういう時ほど、自分の考えに頼るべきではないということです。

二つ目は「あなたの行く道すべてで、主を認めよ」ということ。 つまり、人生のすべての場面で、もっと大きなものの導きを感じようということです。仕事の場面でも、人間関係の中でも、日々の選択の中でも。

そして最後に、「主はあなたの道をまっすぐにしてくださる」と約束しています。迷い、曲がり、時には後戻りするような人生でも、それでもなお、導かれているということ。その保証が、この言葉には込められているのです。

今、できること

では、この古い言葉は、今の私たちにどう活きるのでしょうか。

まず大切なのは「信頼する相手を見つける」ことです。 それは宗教的な信仰だけに限りません。人生の先輩、信頼できる友人、家族。あるいは、自分の経験の中で見出した「人生の法則」かもしれません。「時間が解決してくれることもある」「人の優しさには必ず報いがある」。そうした確かな感覚を、一つ二つ、心に持つことです。

次に大切なのは「自分の頭だけに頼らない」ことです。 特に、大きな決断をする時。焦っている時。一人で悩んでいるだけでなく、他の視点を求めてみてください。「この決断について、あなたはどう思いますか」と、誰かに相談してみる。本を読んでみる。少し時間を置いて、別の角度から考えてみる。そうすることで、新しい道が見えてくることがあります。

そして、もう一つ。 「道がまっすぐになる」というのは、つまずきや失敗がなくなるということではないかもしれません。むしろ、人生全体を見た時に、すべての経験が一つの流れの中で、意味を持っているということではないでしょうか。今は分からなくても、後になって「あの時の経験があったから、今がある」と気づくことがあります。そういう意味で、私たちの道は確かに導かれているのです。

試しに、これまでの人生を思い出してみてください。あの時は失敗だと思った選択が、結果的に良い結果に繋がったことはありませんか。あの時は絶望的に感じたことが、後になって必要な経験だったと分かったことはありませんか。そういう経験が、誰にでもあるはずです。それこそが「導き」の証です。

私の経験から

私は81年の人生の中で、何度も「すべてを自分で背負おう」としてきました。

若い頃は、自分の考えが一番正しいと思っていました。仕事も、人間関係も、自分の判断で。でも、そういう時ほど、失敗しました。周りの声を聞かず、自分の頭だけを信頼していたからです。

63歳で退職し、うつ病になった時。貧困の中で、食費月1万円で暮らしていた時。そこで初めて、「自分だけでは何もできない」ということに気づきました。自分の力の小ささ、人の助けの大きさ。見えない何かに支えられていることの確かさ。

その時から、私は少しずつ、大きなものを信頼することを学びました。完璧ではありませんが、今は、人生の選択の時に「これでいいだろうか」と、何か大きなものに問いかけるようにしています。そうすると、不思議と、次の一歩が見えてくるのです。

あなたへの願い

信頼とは、手放すことです。すべてを自分で握ろうとする手を、少しずつ開くことです。

その時、初めて、自分の手は自由になり、新しいものを受け取ることができるようになります。

あなたの人生に、小さな光が差しますように。

今日、考えてみてください

今、あなたが一人で抱え込んでいることは、何ですか。その一つを、誰かに相談してみませんか。

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