時を知る

人生の転機

あなたも感じたことありませんか?

人生で最も後悔することの一つは、「あの時、別の選択をしていたら」という思いではないでしょうか。

若い時に力を入れるべきだったこと。中年の時に大切にすべきだったこと。そして今、老年になって初めて気づくこと。時というものは、一度失うと二度と戻ってきません。

仕事、子育て、人間関係、趣味、学び。人生には様々な活動があり、それぞれに「時」があります。その時を見極めることができたら、どんなに人生が違っていたことか。

多くの人は、その時が来ていることに気づかず、過ぎ去った後に初めて「あ、あれが転機だったのか」と気づくのです。では、その「時を知る」ことはできるのでしょうか。それとも、人生は単なる偶然の積み重ねなのでしょうか。

もし、そうだとしたら…

もし、人生には一定の「リズム」があり、それを感じ取ることができるとしたら。そう気づくことで、人生の選択は変わるでしょうか。

古い書物の言葉

古代の知恵の書に、こんな言葉があります。

「天の下では、すべてのことに定まった時がある。 生まれる時、死ぬ時。 植える時、抜き取る時。 殺す時、癒す時。 こわす時、建てる時。 泣く時、笑う時。 悲しむ時、踊る時。 石を投げる時、石を集める時。 抱く時、抱かない時。 探す時、失う時。 保つ時、捨てる時。 裂く時、縫う時。 黙る時、語る時。 愛する時、憎む時。 戦う時、平和な時。」(伝道者の書3:1-8)

この言葉は、紀元前2000年を遡る古代ユダヤの時代に書かれました。当時も今も、人間の悩みと喜びは変わっていないのです。

この言葉の背景にある思想は、深く、大きなものです。著者は何を言いたいのか。それは「すべてのことに時がある」ということ。つまり、人生において起こることすべてが、無意味ではなく、その時その時に意味を持っているということです。

対比される事柄に注目してみてください。 生まれることと死ぬこと。植えることと抜き取ること。建てることと壊すこと。泣くことと笑うこと。つまり、相反するすべての事柄が、人生には「その時」を持っているということです。

重要なのは、どちらが良い、悪いということではなく、すべての事象が時を持つということ。そしてそれらは、人生全体の中で、バランスを取っているということなのです。

特に興味深いのは「黙る時、語る時」という表現です。現代のように情報過多で、皆が常に声を上げようとする時代にあって、「黙る」という行為の大切さ。そして「語る」ことの適切な時。この二つの時を知ることの重要性が、古代から認識されていたということです。

今、できること

では、この「時を知る」ことは、今の私たちにどう活きるのでしょうか。

まず大切なのは「焦らない」ことです。 現代社会は、常に「今すぐ」を求めます。今すぐ結果を出す。今すぐ決断する。今すぐ成功する。そのプレッシャーの中で、私たちは本来の時を見失っています。しかし、人生には、その時まで待つ必要があることが、確かにあるのです。

例えば、仕事で新しいプロジェクトが始まる時。すぐに力いっぱい進めたいという気持ちはわかります。でも、実は「静観する時」かもしれません。情報を集め、周囲を観察し、じっと待つ時。そういう時に焦って動くと、逆に失敗することがあります。

次に大切なのは「季節感を持つこと」です。 春は種を蒔く時。夏は育てる時。秋は収穫の時。冬は休む時。自然界にはそうした明確な季節がありますが、人生にも同じような「季節」があるのです。

若い時代は「春」。新しいことに挑戦し、失敗から学ぶ時。中年は「夏」。培ったものを活かし、実績を作る時。年を重ねると「秋」。その経験を後進に伝え、実を結ばせる時。そして老年は「冬」。人生を静かに振り返り、休息と感謝の時。

自分の人生が今どの季節にあるのか。その季節で何をすべきなのか。それを知ることが、「時を知る」ことなのです。

そして最も大切なのは「その時その時を大切にする」ことです。 後悔は、過ぎ去った時を思うことから生まれます。でも、過ぎた時は取り戻せません。であれば、今この瞬間を、精いっぱい生きることではないでしょうか。

今、泣く時であれば、心ゆくまで泣く。今、笑う時であれば、声いっぱい笑う。今、働く時であれば、全力で働く。今、休む時であれば、心から休む。その時その時の営みを、丁寧に大切にすることで、人生全体が意味を持つようになるのです。

私の経験から

私は81年の人生で、「時を知る」ことの大切さを、何度も学びました。

若い時は、いつも焦っていました。早く成功したい。早く認められたい。その焦りの中で、大切なことを見落としてきました。家族との時間。友人との関係。本当に自分が何をしたいのかという問い。

63歳で仕事を失った時。その時は、最大の危機だと思いました。でも、あれが私の人生で最も大切な「転機」の時だったのです。その後、神学校に行き、ボランティアに従事し、今こうしてブログを書いている。あの苦しい時があったから、今の私がここにいるのです。

時を知るというのは、その時々の意味を理解することではなく、人生全体の中で、その時がどんな役割を果たしているのかを、後になって気づくことなのだと思います。だからこそ、今この瞬間を、大切にする必要があるのです。

あなたへの願い

人生には、その時々の営みがあります。

急ぐべき時があり、待つべき時がある。動くべき時があり、黙るべき時がある。笑うべき時があり、泣くべき時がある。

その時その時を知ることが、人生を生きることなのです。

あなたの今この瞬間が、最も大切な時でありますように。

今日、考えてみてください

今のあなたの人生は、どの季節にありますか。その季節で、あなたがすべきことは、何でしょうか。

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