あなたも感じたことありませんか?
計画を立てる。目標を決める。「これをやるぞ」と決意する。
人生には、そうした大切な計画がいくつもあります。仕事の目標。人生の夢。家族のための計画。社会への貢献。多くの人は、真摯にそうした計画を立て、それを実行しようと努力しています。
でも、ふと気づくことがあります。いくら計画を立てても、その通りにはいかない。想定外のことが起こる。思わぬ障害にぶつかる。人間関係がうまくいかなくなる。そして、その度に、心は揺れ、疲れ果ててしまうのです。
「自分の計画が正しい」と思い込んで、それに固執しすぎると、人生は窮屈になってしまいます。では、計画を立てた後、どうすればいいのでしょうか。
もし、そうだとしたら…
もし、計画を立てた後、それを「大きなもの」に預けることができたとしたら。そう手放すことで、心は自由になるでしょうか。
古い書物の言葉
古代の知恵の書に、こんな言葉があります。
「あなたの行いを主にゆだねよ。そうすれば、あなたの計画は成り立つ。」(箴言16:3)
この言葉は、紀元前の古代ユダヤ時代に書かれました。当時も今も、人間は計画を立て、その実現のために懸命に働いています。
この言葉の背景にある思想は、深いものです。「主にゆだねよ」とは、何を意味するのか。
字面だけを見ると、宗教的に聞こえるかもしれません。でも、ここで言う「主」とは、単なる宗教的存在ではなく、もっと大きな「いのちの流れ」「人生を支える大きな力」のようなものです。自然の営み。時間の流れ。人間関係の中での出会い。そうした目に見えない大きな力のことを指しているのです。
重要な部分は「あなたの行いを主にゆだねよ」という表現です。つまり、自分が計画を立てることは大切だ。でも、その計画の実現のすべてを自分で背負い込むべきではない。計画を立てたら、その実現を「大きなもの」に委ねる。そうしなさい、ということなのです。
そして、興味深いのは「そうすれば、あなたの計画は成り立つ」という約束です。つまり、手放すことで、逆に計画が成り立つようになるということ。これは一見、矛盾しているように聞こえるかもしれません。でも、人生の経験を重ねると、この言葉の真理が見えてくるのです。
今、できること
では、この「計画をゆだねる」ことは、今の私たちにどう活きるのでしょうか。
まず大切なのは「計画を立てること自体は大切」だと認識することです。 計画なしに人生は進みません。目標がなければ、人間は迷子になってしまいます。だから、計画を立てることは、むしろ責任ある大人の行為です。
でも、その計画が「唯一の正解」だと思い込むことが、問題なのです。人生は複雑で、予測不可能な要素がたくさんあります。自分の計画が100%その通りになることは、ほぼありません。であれば、計画は「一つの指針」に過ぎない、そう考える方が、心は楽になるのです。
次に大切なのは「計画を立てたら、後は流れに任せる」という心構えです。 これは、努力をしないということではなく、むしろ「最善を尽くした後は、結果を受け入れる」という姿勢です。
例えば、仕事で大切なプロジェクトがある時。あなたができることをすべてしたら、後の細かい詰めは、チームや時間に任せる。家族のために何かをしたい時。あなたができることをしたら、後は相手の自由意志や時間の流れに任せる。そうした「手放し」の中に、実は、最も自然な実現の道が開けるのです。
そして最も大切なのは「柔軟に調整する」ことです。 計画は立てるものですが、変更してもいいのです。当初の計画では難しいのであれば、別の道を探る。予期しない出来事が起こったら、それも受け入れる。そうした柔軟性を持つことで、人生全体を見た時に、むしろ最適な結果に辿り着くことが多いのです。
多くの人は、計画を立てたら、その通りに実行することが「成功」だと思っています。でも、実は、計画を立てながら、状況に応じて柔軟に調整していくプロセス全体が、本当の「成功」なのではないでしょうか。そして、その柔軟性を持つことができるのは、計画を「ゆだねた」時なのです。
私の経験から
私は81年の人生で、何度も計画を立ててきました。
若い時は、その計画が絶対だと思っていました。この通りにやれば、必ず成功する。そう信じて疑いませんでした。でも、人生は私の計画通りには進みませんでした。
63歳で失業した時も、それは予定外でした。でも、その予期しない出来事が、私の人生を大きく変えました。その後、神学校に行き、ボランティアに従事し、今、こうしてブログを書いています。
もし、63歳の時に完璧な人生計画を立てていたら、それにしがみついていたら、今のこの人生はなかったでしょう。予期しない転機を受け入れ、柔軟に歩んだから、今がある。そのことが、私に教えてくれたのです。
計画を立てることは大切です。でも、その計画に固執することほど、人生を狭くするものはないということを。計画を立てたら、後は流れに任せ、その流れの中で柔軟に歩む。その時初めて、人生は広がり、深くなっていくのだと思います。
あなたへの願い
計画と現実のギャップに悩んでいるのなら、それは決して失敗ではありません。
人生は、計画通りに進むことの方が、実は少ないのです。大切なのは、その時その時に、柔軟に対応し、その流れを信頼することなのです。
あなたの人生が、計画を超えた、もっと素晴らしい展開へ向かいますように。
今日、考えてみてください
今、あなたが固執している計画はありますか。その計画を、少し手放してみたら、どんなことが見えてくるでしょうか。


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