喜びは良い薬

日々の気づき

あなたも感じたことありませんか?

心が沈んでいる時、体も疲れやすくなる。

反対に、何か良いことがあった日は、同じ仕事をしていても、体が軽く感じる。

「あ、これが気分で体が変わるということなんだ」

そう気がついたことは、ありませんか?

特に、日本人は「気持ちと体は別」だと考えがちです。心の問題は心で処理し、体の問題は医者に診てもらう。そういう分け方をするのです。

でも、実際には、心と体は、深く結びついています。

うつ病になると、体が重い。病気になると、心も沈む。不安でいると、肩が凝る。

反対に、笑うと、心が軽くなる。誰かが喜ぶのを見ると、自分も嬉しくなる。何か良いことを思い出すと、体までが軽くなる。

これは、単なる「気のせい」ではなく、実は、医学的にも証明されていることなのです。

でも、多くの人は、その「喜び」を、意識的に探そうとしません。

「こんな時に、どうして笑えるのか」

「現実は厳しいのに、喜びなんて見つけられない」

そうした思いが、心と体の両方を、さらに沈めていくのではないでしょうか?

もし、そうだとしたら…

心が沈んでいる時だからこそ、喜びが必要ではないでしょうか?

そして、その喜びは、本当に見つけられないものなのでしょうか?

古い書物の言葉

古代の知恵の書に、こんな言葉があります。

「喜びのある心は、良い薬のようなもの。悲しみのある心は、骨までも衰えさせる。」(箴言17:22)

二千年前に書かれたこの言葉は、心と体の関係について、非常に明確に述べています。

「喜びのある心は、良い薬のようなもの」

これは、単に「喜びは気持ちが良い」ということではなく、「喜びは、実際に、体を癒す力を持っている」ということを言っているのです。

古代のユダヤ社会では、医学も今ほど発達していませんでした。だから、「良い薬」というのは、非常に価値のあるもの。人の命さえ救うものでした。

その「良い薬」と同じくらい、いや、それ以上の価値が、「喜びのある心」にあるということです。

一方「悲しみのある心は、骨までも衰えさせる」とは、心の悲しみが、単に心にとどまるのではなく、体の奥深くまで、浸透していくということです。

「骨」というのは、体の最も基本的な構造です。その骨さえ衰えさせるほど、悲しみの力は大きいということなのです。

言い換えれば、心の状態が、体全体を左右する、ということです。

だからこそ、この言葉は、私たちに問いかけるのです。

「あなたは、どちらの心を選びますか?」

と。

ここで注目すべきは「選ぶ」ということです。

私たちは、喜びを「見つけるもの」としてではなく、「選ぶもの」として、捉える必要があるのです。

つまり、「世の中に喜びがあふれているから、それを見つけよう」というのではなく、「困難な状況の中でさえ、喜びを選び取ろう」ということなのです。

そこに、人間の主体性があり、その選択が、心と体の健康を左右するのです。

今、できること

では、具体的に、喜びを選ぶには、どうしたらいいでしょう?

まず、毎日、小さな喜びを、意識的に見つけることを習慣にしてみてください。

「今日、温かいお茶を飲めた」

「朝日が気持ち良かった」

「友人からメッセージが来た」

そうした小さなことを、見つけ出す。そして、その瞬間、「あ、これは喜びだ」と、心で味わう。

その習慣が、やがて、あなたの心を、「喜びモード」へとシフトさせていきます。

次に、笑うことを意識してやってみてください。

これは、「無理にでも笑え」ということではなく、「笑顔を意識すること」です。

口の両端を上げるだけで構いません。その時、脳はそれを「喜んでいる信号」だと受け取ります。すると、実際に、体内に、喜びのホルモンが分泌され始めるのです。

これを「フェイスフィードバック効果」と呼びます。つまり、「笑顔が先で、喜びが後からついてくる」ということなのです。

そして、もし可能なら、誰かと笑い合うことを心がけてください。

笑いは、伝染します。自分が笑うと、相手も笑う。相手が笑うと、自分も笑う。その循環の中で、喜びは、指数関数的に増えていくのです。

また、意識的に、「良いもの」を見たり、聞いたりすることも、大切です。

美しい風景、心地よい音楽、面白い話。そうしたものが、喜びの「種」になるのです。それを、毎日、少しずつ、取り入れる習慣を作ってください。

私の経験から

私は、63歳でうつ病になった時、喜びを感じることができませんでした。

食費月1万円、灯油タンクを1km運ぶ。そうした状況の中で、「喜び」を見つけろと言われても、それは無理だと思っていました。

でも、その中で、ある日、小さなことに気がついたのです。

妻がくれた温かい食事。友人からの一言のメール。夜空に輝く星。

「あ、これも、喜びなんだ」

そう気がついた時、何かが変わり始めました。

毎日、朝、窓を開けて空を見る。その小さな習慣が、一日の始まりに、小さな喜びをもたらしてくれたのです。

そして、やがて、人に会う時、意識的に笑顔を作るようにしました。すると、相手も笑顔で返してくれる。その循環の中で、本当の喜びが、少しずつ、育ち始めたのです。

今、81歳の私は、昔ほど「大きな喜び」を求めません。でも、「小さな喜び」を、毎日、感じています。

その小さな喜びの積み重ねが、私の心を、そして体を、健康に保っているのだと、確信しています。

あなたへの願い

もし、あなたの心が今、沈んでいるなら、ぜひ、喜びを「見つけよう」とするのではなく、「選ぶ」ことを試してみてください。

その選択が、あなたの心と体に、実際に、薬のような効果をもたらすのです。

小さな喜びは、その時は小さく見えるかもしれません。でも、その積み重ねが、やがて、大きな力になるのです。

あなたの心と体が、少しずつ、健康を取り戻しますように。

今日、考えてみてください

あなたが今、感じている喜びは、何ですか?そして、今日、そのほかに、小さな喜びを、一つ見つけることはできますか?

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