あなたも感じたことありませんか?
人生の中で、「どこにも帰る場所がない」と感じたことはありませんか?
仕事で失敗した時、人間関係が壊れた時、人生が思い通りにならなくなった時。
そうした時、多くの人は、その現実に直面しながらも、「どこにも帰れない」という絶望感を抱くのです。
親元を離れて、一人で頑張ってきた。でも、失敗してしまった。
「今さら、親に頭は下げられない」
友人に助言を求めたい。でも、「自分の失敗を知られたくない」
そうした思いが、人を、ますます孤立させていくのではないでしょうか?
でも、本当に、「帰る場所」はないのでしょうか?
もし、そうだとしたら…
もし、失敗した時でも、帰ることができる場所があったら、どう変わるでしょう?
そして、その「帰る場所」を、どのように見つけたら、いいのでしょうか?
古い書物の言葉
古代の知恵の書に、こんな物語があります。
ある父親がいました。二人の息子がいました。
若い方の息子は、父親に言いました。
「父さん、私に相続分をください」
父親は、その願いを聞き入れました。すると、息子は、その財産を持って、遠い国に出かけてしまいました。
その若い息子は、異国で、浪費に浪費を重ねました。やがて、その国に大飢饉が起きました。
息子は、飢え始めました。そして、ついに、こう思いました。
「父さんのもとには、たくさんの召し使いがいて、食べ物に困ることがない。なのに、俺は、ここで飢えている。父さんのもとに帰ろう。『父さん、すみません。もう、息子と呼ばれる資格はありません。召し使いの一人にしてください』と、言おう」
そう決心した息子は、父のもとへ歩み始めました。
ところが、父親は、遠くから息子の姿を見つけると、走り寄ってきました。そして、息子を抱きしめ、こう言いました。
「帰ってきたね。良かった」
父親は、すぐに、お祝いの支度をしました。殺した動物の肉を用意し、宴を開いたのです。(ルカ15:11-32)
この物語は、二千年前に語られました。しかし、今を生きる私たちの心にも、深く響く物語です。
この物語の素晴らしさは、何でしょう?
それは、「帰る場所」の本質を、完全に表しているからです。
息子は、失敗しました。浪費しました。すべてを失いました。
その失敗を背負いながら、父のもとへ帰ります。
父親は、その息子の失敗を責めません。代わりに、抱きしめるのです。
言い換えれば、「帰る場所」というのは、「完璧である必要がない場所」なのです。
失敗した自分、貧しくなった自分、すべてを失った自分。そのままの自分を、受け入れてくれる場所。
そこに、人間の本当の救いがあるのです。
今、できること
では、具体的に、「帰る場所」を見つけるには、どうしたらいいでしょう?
まず、あなたの人生の中に、「帰る場所」があるかどうかを、問い直してみてください。
それは、物理的な「場所」かもしれません。家族の元。友人の家。安心できる誰かのもと。
でも、それが見つからない場合、別の形の「帰る場所」があるかもしれません。
本を読むことで、心が安らぐ場所。自然の中で、安心を感じる場所。誰かとの会話の中で、受け入れられた感覚。
次に、もし「帰る場所」を感じているなら、その場所との関係を大切にしてください。
定期的に訪ねる、連絡を取る、その場所の人たちの話に耳を傾ける。
そうして、その「帰る場所」との関係を、強くしていくのです。
そして、もし今、「帰る場所」がないと感じているなら、作ることもできます。
新しい友人関係を築く、新しいコミュニティに参加する、信仰の場に足を運ぶ。
そうした中で、少しずつ、「帰ってもいい」と感じさせてくれる場所や人間関係が、育ち始めるでしょう。
私の経験から
私は、63歳で仕事を失い、貧困に落ちた時、「帰る場所がない」と感じました。
仕事も失った。給料も失った。社会的な立場も失った。
「今さら、誰に頼ることができるだろう」
そう思っていました。
でも、その中で、いくつかの「帰る場所」に気づき始めたのです。
友人の家。ボランティア仲間との場所。やがて、神学校という、心の拠り所。
そして、67歳の時、信仰という形で、最も深い「帰る場所」を見つけました。
それは、物理的な場所ではなく、心の中の安定。「どんな状況でも、帰ることができる何か」という感覚です。
今、81歳の私は、その「帰る場所」があることで、人生を生きることができています。
失敗することもあります。間違った判断をすることもあります。
でも、その時、「帰る場所がある」という確信があるので、再び歩み始めることができるのです。
あなたへの願い
もし、あなたが今、人生の中で迷っているなら、「帰る場所」を探してみてください。
それは、物理的な場所かもしれません。人間関係かもしれません。心の中の安定かもしれません。
何の形であれ、「帰る場所がある」という感覚は、人生を大きく変えます。
あなたが、安心できる「帰る場所」を見つけることを、願っています。
今日、考えてみてください
あなたにとって、「帰る場所」は、どこですか?そして、もしまだ見つかっていないなら、どこを探してみたいですか?


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