あなたも感じたことありませんか?
ふっと誰かの言葉で心が温まったことがありませんか。
別に大げさなことではなく、ただ「あなたのそういうところ、素敵だね」という一言。「大変だったね、お疲れ様」という労いの言葉。「それは良い考えだ」という認め言葉。
そうした親切な言葉を一つ受け取るだけで、その日一日が変わってしまうことがあります。朝は気分が沈んでいたのに、その言葉で心が満たされる。疲れていたのに、その言葉で力が湧いてくる。
言葉とは、そういう力を持っているのです。
でも、多くの人は、その力に気づいていません。むしろ、言葉の「負」の面ばかりに注目しています。傷つける言葉。否定する言葉。批判する言葉。そうしたネガティブな言葉の方が、心に残りやすいのかもしれません。
だからこそ、あえて、親切な言葉の力に気づくことが大切なのです。
もし、そうだとしたら…
もし、親切な言葉が持つ力を知っていたら。その力を意図的に使うことで、自分の人間関係は変わるでしょうか。
古い書物の言葉
古代の知恵の書に、こんな言葉があります。
「優しい言葉は蜜のようだ。心に甘く、骨を癒す。」(箴言16:24)
この言葉は、紀元前の古代ユダヤの時代に書かれました。当時も今も、言葉の力は変わっていません。
この言葉の美しさに注目してください。「蜜のようだ」という比喩。蜜とは、甘く、美しく、栄養に満ちたもの。それが、優しい言葉の特質だというのです。
そして、興味深いのは「心に甘く、骨を癒す」という表現です。
「心に甘く」とは、心の表面を喜ばせるだけではなく、心の奥底に甘さが浸透していくということ。単なる気休めではなく、本質的な癒しがもたらされるということです。
そして「骨を癒す」。骨とは、身体の根幹です。心も、身体も、その根底にある疲れや傷を、優しい言葉が癒すということなのです。
つまり、親切な言葉とは、単なる情報伝達ではなく、人の心身全体に働きかける力を持っているのです。
現代は、情報が溢れています。でも、その情報のほとんどは「冷たい」のです。数字で示され、理屈で説明され、効率で評価される。そうした冷たい情報の中で、人間の心は飢えているのです。
その飢えた心に、親切な言葉という「蜜」を注ぐ。その時、人間関係は新しく始まり、人生全体が潤うのです。
今、できること
では、この「親切な言葉の力」を、実際にどう活かすのでしょうか。
まず大切なのは「親切な言葉を意識的に選ぶ」ことです。 多くの人は、言葉を無意識に選んでいます。その時の気分で、思いついたままに言葉を放っています。
でも、意識的に選ぶことで、その言葉の質は大きく変わるのです。「今、この人に必要な言葉は何か」と一度考えて、その上で言葉を選ぶ。それだけで、相手の心への届き方は全く変わってくるのです。
次に大切なのは「具体的に褒める、認める」ことです。 「あなたは良い人だ」という一般的な褒め言葉より、「あなたがそうしてくれたことで、私は助かった」「あなたのそのやり方は、本当に丁寧だ」という具体的な認め言葉の方が、心に染み込むのです。
相手が何をしたから、その結果あなたがどう感じたのか。そうした具体性を持つ親切な言葉こそが、相手の心を本当に癒すのです。
そして最も大切なのは「タイミングを逃さない」ことです。 親切な言葉も、タイミングが合わなければ、その力は減ってしまいます。
相手が疲れている時。相手が落ち込んでいる時。相手が頑張った直後。そうした時に、親切な言葉をかけることで、その言葉は蜜となり、心の奥底に浸透するのです。
つまり、親切な言葉の力とは、言葉そのもの以上に、「それをいつ、どのように伝えるか」という配慮の中に含まれているのです。
私の経験から
私は81年の人生で、言葉の力を何度も感じました。
若い時は、自分の言葉の影響力に気づいていませんでした。だから、無神経な言葉を浴びせかけ、相手を傷つけることも多かったのです。
でも、年を重ねるにつれて、気づきました。ちょっとした親切な言葉が、相手の人生を変えることもあるということを。
特に、人生の苦しい時期に、誰かから親切な言葉をもらった経験は、今でも心に温かく残っています。その言葉があったから、また前に進むことができた。その言葉があったから、人を信じることができた。
今、私はブログを通じて言葉を発信しています。その時、常に念頭にあるのは、この親切な言葉の力なのです。ただ情報を伝えるのではなく、読者の心に蜜のように染み込む、温かい言葉を選ぶこと。それが、私の責任だと思っているのです。
あなたへの願い
もし、あなたの周りに、誰かの親切な言葉を必要としている人がいるなら。今日、その人に蜜のような言葉をかけてみてください。
それが、相手の人生を変えるかもしれません。
あなたの言葉が、誰かの心に蜜として注がれますように。
今日、考えてみてください
今日、あなたが誰かに親切な言葉をかけることができたら、それはどんな言葉ですか。そしてその言葉を、本当に相手に伝えてみませんか。


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