あなたも感じたことありませんか?
会議で誰かが話しているとき、「それは違う」と思って、つい口を挟んでしまう。
家族との会話で、相手の話が終わらないうちに、「だから、こうすればいいんだよ」と言ってしまう。
友人から相談を受けたとき、話を最後まで聞く前に、自分の経験を語り始めてしまう。
こんなこと、ありませんか?
私も若い頃、そうでした。相手の話を聞くより、自分の意見を言いたくて仕方がなかった。「早く言わないと、言いそびれてしまう」そんな焦りがありました。
でも、後になって気づくんです。相手は、私の意見が欲しかったわけじゃない。ただ、聞いてほしかっただけだった、と。
もし、そうだとしたら…
なぜ、私たちは相手の話を最後まで聞けないのでしょうか。
なぜ、つい、先に口を出してしまうのでしょうか。
古い書物の言葉
古代の知恵の書に、こんな言葉があります。
「だれでも、聞くに早く、語るに遅く、怒るに遅くありなさい」(ヤコブの手紙1章19節)
これは、今から約2000年前、初期のキリスト教の指導者ヤコブが、人々に宛てて書いた手紙の一節です。
当時も今も、人間関係の悩みは変わらないんですね。
「聞くに早く」とは、相手の話を、まず聞くということ。
「語るに遅く」とは、自分が話すのを、少し待つということ。
「怒るに遅く」とは、感情的にならず、冷静でいるということ。
シンプルですが、深い知恵です。
よく考えてみると、人間関係のトラブルの多くは、「聞かない」ことから始まっているような気がします。
相手の話を最後まで聞かずに反論する。
相手の気持ちを理解しようとせずに、自分の意見を押し付ける。
相手が何を言いたいのか、まだわからないのに、「それは違う」と決めつけてしまう。
この古い言葉は、そんな私たちに、静かに語りかけています。
「まず、聞いてごらん」と。
聞くことは、相手を尊重することです。
聞くことは、相手を大切にすることです。
聞くことは、相手の存在を認めることです。
「語るに遅く」というのは、黙っていなさい、ということではありません。
ただ、話す前に、少し待ってみる。
少し、考えてみる。
「今、この言葉を言う必要があるだろうか」と。
そして、「怒るに遅く」。
カッとなったとき、すぐに言葉にしない。
深呼吸をして、少し時間をおく。
そうすれば、あとで後悔するような言葉を、口にせずに済むかもしれません。
今、できること
では、明日から、どうすればいいのでしょうか。
大きなことは、できなくてもいいんです。
小さな一歩から、始めてみませんか。
たとえば、こんなことです。
誰かが話しているとき、途中で口を挟みたくなったら、「3秒待つ」と決めてみる。
家族との会話で、「でも」「だけど」と言いたくなったら、「そうなんだ」と、まず受け止めてみる。
職場で、意見の違いがあったとき、「あなたはどう思う?」と、相手に聞いてみる。
相手の話を聞くとき、スマホを置いて、目を見て聞く。
ただ、それだけです。
大げさなことは、いらない。
ただ、相手の話を、最後まで聞いてみる。
それが、人間関係を変える第一歩かもしれません。
私の経験から
正直に言うと、私も若い頃は、人の話を聞くのが苦手でした。
自分の意見を言いたくて、相手の話の途中で割り込んでしまう。
「それは違う」と、すぐに反論してしまう。
そのせいで、何度も人間関係でつまずきました。
「あの人は、人の話を聞かない」と言われたこともあります。
でも、歳を重ねて、少しずつ学びました。
人は、正論を言ってほしいわけじゃない。
人は、ただ、聞いてほしいんだ、と。
今でも、完璧にはできません。
つい、口を挟んでしまうこともあります。
でも、以前よりは、少しだけ、相手の話を聞けるようになったと思います。
そして、気づいたことがあります。
相手の話を聞くと、相手も、私の話を聞いてくれるようになる、ということです。
人間関係は、鏡のようなものかもしれません。
あなたへの願い
あなたの周りに、話を聞いてほしいと思っている人が、いるかもしれません。
あなたが、少し待って、少し聞いてあげるだけで、その人の心が軽くなるかもしれません。
あなたの人間関係に、小さな変化が訪れますように。
今日、考えてみてください
今日、誰かの話を、最後まで聞けますか?


コメント