あなたも感じたことありませんか?

日々の気づき

何かが足りない。人生がどこか虚しい。

給料は悪くない、家族もいる、家も持っている。社会的に見て、特に不足しているものはないはずなのに、心はどこか満たされない。

「これで、いいはずなのに」

そう思っても、その想いは消えない。

特に、日本社会では「足りないもの」を補うことに、多くの人は注力します。もっと稼ぐ、もっと出世する、もっと認められる。足りない「何か」を外部から取り入れることで、心を満たそうとするのです。

でも、多くの場合、それらを手に入れても、虚しさは残ります。なぜでしょう?

それは、私たちが本当に必要としているものが、外部から取り入れられるものではなく、「心の内側に育つもの」だからではないでしょうか?

本当の喜び、本当の平安、本当の愛。そうした「心の内側の豊かさ」を、私たちは知らず知らずのうちに、求めているのです。

もし、そうだとしたら…

心の内側を豊かにするには、どうしたらいいのでしょう?

そして、その豊かさの形は、決まっているものなのでしょうか?

古い書物の言葉

古代の知恵の書に、こんな言葉があります。

「心の内側の豊かさは、こうした9つのものから成り立っています。愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実さ、柔和、自制心。」(ガラテヤ5:22-23)

二千年前に書かれたこの言葉は、人生を豊かにするために、本当に必要な「9つのもの」をリストアップしています。

興味深いのは、この9つが、すべて「お金で買えない」「外部から与えられない」ものだということです。

まず、最初の三つを見てみましょう。

– これは、誰かを大切に思う気持ちです。自分の利益ではなく、相手のことを思う心。この愛を育てることで、人生は深くなります。

喜び – これは、幸せという気持ちではなく、深い満足感です。小さなことに感謝し、喜びを見いだす心。

平安 – これは、何もない状態ではなく、心が穏やかに落ち着いている状態です。嵐の中でも、心に静けさがある。

次の三つです。

寛容 – 他者を許す心。自分と異なる意見を受け入れる力。

親切 – 誰かのために、思いやりをもって行動すること。

善意 – 人を傷つけるのではなく、助けようとする心。

そして、最後の三つです。

誠実さ – 自分に正直であり、その言葉に責任を持つこと。

柔和 – 強情ではなく、しなやかに人生を受け止める心。

自制心 – 衝動に流されず、自分の行動を律する力。

この9つのものを見ていると、共通点に気がつきます。

すべてが「心の選択」に関わっているということです。お金でも、地位でも、物でも手に入らない。ただ、「私は、この9つを心に育てよう」と、決断することでだけ、それらは成長していくのです。

言い換えれば、人生の豊かさは、外部からは与えられず、自分の内側から、自分の選択によってだけ、生まれてくるものなのです。

今、できること

では、具体的に、この9つをどのように人生に活かしていくのでしょう?

まず、あなたの人生の中で、この9つのうち、どれが育っていて、どれが育っていないかを、観察してみてください。

「私は、割と親切だけれど、自制心がないかもしれない」

「喜びを感じることは少ないけれど、誠実さは保っている」

そうした自己観察をすることで、あなたの心がどのような状態にあるかが、見えてきます。

次に、育っていない部分に、意識的に取り組んでみてください。

例えば、「喜びが足りない」と感じたら、毎日、小さな喜びを見つけることを習慣にする。朝日の気持ち良さ、温かいお茶の味わい、友人の言葉。そうした小さなことに目を向ける。

「寛容さが足りない」と感じたら、週に一度、自分と異なる意見の人の話を、批判せずに聞いてみる。その人の背景を想像してみる。

「自制心が欠けている」と感じたら、毎日、一つだけ、衝動に抵抗する選択をしてみる。食べたいお菓子を我慢する、言いたい言葉をぐっとこらえる。その小さな選択の積み重ねが、やがて大きな力になります。

大切なのは、「完璧を目指す」のではなく、「少しずつ育てる」ということです。

そして、この9つのうち、どれか一つを毎月のテーマにしてもいいでしょう。1月は「愛」に焦点を当てて、相手のことを思う行動を意識する。2月は「喜び」に焦点を当てて、小さな感謝を見つけることを習慣にする。

そうしていくうちに、あなたの人生は、自然と豊かになっていくのです。

私の経験から

私は、81年の人生を生きてきた中で、この9つのすべてが、完全に育ったわけではありません。

むしろ、長い時間をかけて、少しずつ、これらを学んできたのです。

タバコを80本吸っていた若き日には、「自制心」は皆無でした。63歳でうつ病になり、食費月1万円で生活した貧困の中では、「喜び」を見つけることが、どれだけ難しかったか。

でも、その中で、私は学びました。

灯油タンクを担いで雪道を歩く時、その一歩一歩の中に「平安」があること。妻が亡くなった悲しみの中で、友人や家族の「親切」に触れることで、人生が深くなること。貧困の中だからこそ、「喜び」の大切さが見えたこと。

67歳で信仰を持つようになってからは、特に「愛」の大切さを感じています。自分のためではなく、誰かのために何かをする時の、心の満足感。それこそが、本当の豊かさなのだと。

完璧ではありません。今でも、自制心に欠けることもあります。寛容さを忘れることもあります。でも、それでいい。大切なのは、「やめずに、育て続ける」ことなのです。

あなたへの願い

もし、あなたの人生が虚しいと感じているなら、外部から「何か」を加えるのではなく、心の内側にある「9つのもの」を育てることを考えてみませんか?

それは、地味で、時間がかかる作業かもしれません。でも、一度、心が豊かになる体験をすれば、あなたは変わります。

あなたの人生が、少しずつ、内側から輝き始めますように。

今日、考えてみてください

この9つのうち、あなたの心に一番足りないものは何ですか?そして、来月までに、それを一つ育ててみることはできますか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました